Daydream 21

21. an emperor 《皇帝》

イタリアの空港フィウミチーノ。そのロビーで少し迷った。蓮のマネージャーの社を探して空港のロビーを歩いていたら、社が先にキョーコを見つけた。

「キョーコちゃん、よく来たね。長旅お疲れ様」

そう声をかけた。長旅はキョーコにとってそう気にならなかった。キョーコの為に蓮が用意した席は、とっても快適な席だった。何不自由無く飲み物や読み物が出される。クラシックや音楽には困らない。チケットをわざわざ取ってくれただけで十分で、自分では座ろうとも思わないような席だった。

「蓮が待ってる。キョーコちゃんが来るのを楽しみにしていたみたいだったよ」

「はい」

キョーコも蓮に会いたかったのは、本当だった。飛行機の中で、色々な想いが交錯した。

「すきだ」そう言った尚の顔と声が頭の中で何度も繰り返し、そして、蓮が「すきだ」と囁く声も頭の中で反響した。飛行機で疲れたというよりは、自分で自分にぐったりした気はする。

「蓮がね、どうしてもキョーコちゃんを連れて回りたいと言ってね。蓮がオレに他人のことで頼み事するなんて無いからさ。キョーコちゃんのことぐらいじゃないかな?初めて会った日、ステージで足、怪我してただろ?診て下さい、って頼まれたのがアイツに頼まれた自分の事以外の最初の頼みごと」

「そうなんですか?」

「普段は弾く事に集中しているから、それ以外のわずらわしい事は一切オレ任せ。あまりモノには執着しないみたいでね。その辺は楽だけど。あ、この後、キョーコちゃんの部屋に行って、着替えるだろ?」

「あ、はい」

「蓮はもうもちろん、会場入りしているからね。オレは今日一日、君の付き添いでいいらしい。それも頼み事だよ」

「ありがとうございます」

「それは蓮に言ってやって。オレは言われたとおり行動するだけだからね」

社に連れられて、ローマ市内のホテルの部屋に入る。その部屋には、蓮の荷物が綺麗に並べられている。

「あの・・・」

「蓮の部屋だよ。もちろん。オレは別の部屋」

 大きなベッドが一つしかない。

社は二人が同じ部屋である事を何も疑問に思っていない様子で、なぜ?という顔をした。

否応無しにずっと蓮と同じベッドで過ごすことになるようだった。ちらりと部屋を見渡すと、奥にピアノがあった。

「ピアノ!!」

キョーコは思わず近寄り、蓋を開けてみる。ポーンと一音出してみる。もう一音。鍵盤の重さと調律は蓮の好みになっている。

「蓮はね、ピアノが置いてある部屋にしか泊まらないんだよ。こだわりなのかなあ?あちこち渡り歩くから、無いと指が鈍るって言ってね。許可が下りれば自分用に調律してしまう始末でね・・・」

荷物を端に置いて、蓮が選んでくれたあの黒いドレスに着替え、高いヒールを履く。高いヒールもだいぶ慣れた。借りた蓮のネックレスをつけて、イヤリングを耳にはめた。バッグは土屋女史がプレゼントした小ぶりのバッグを手にした。

外で待っていた社は、「ウイッグが無くても十分似合うよ」と、にっこり笑って言った。

見たこと無い風景の中を車が走る。どこまでも続く石畳。モニュメント。公園。ローマの町並みは、それら全てがまるで映画のワンシーンで、歴史がそこにそのまま流れて存在している。東京のようなビル風景とはまた違っていた。

「観光として来ては無いだろうけど、どこか蓮に連れて行ってもらうといいよ」

じっと外に見とれていたキョーコに、社が気づいて声をかけた。社は、既にこの風景には慣れているようだ。

「社さん、あ、あのっ・・・少しだけここで止めてもらえませんか?」

社さんは英語ですぐに、止めて欲しい、と言って車を止めた。

「あの、ちょっとだけ待っていてください。そこに寄って来ます」

キョーコは目の前の、雰囲気のいい花屋を指差した。笑顔を作った社は、「その格好なら、今からどこに行くかすぐに分かるからジェスチャーで買えるよ」と言った。

入った花屋で、深い緑色の帽子とエプロンをした背の高い男の人に、紅い薔薇を指差して微妙な笑顔で「二十五本、プレゼント用にして下さい」とだけ英語で伝えた。

陽気そうな笑顔を向けたその男性は、何か分からないイタリア語を大きな笑顔と共に言って、紅い薔薇以外にも抱えるのが大変なぐらい沢山の花を付け加えて、キョーコが暗算した薔薇の代金だけ紙に書いて見せた。

キョーコが支払うと、「君にプレゼントだよ」とキョーコでも分かる英語を言って、ピンに花をくくりつけ髪にさした。

驚いて、「ありがとうございます」と英語より先に日本語が出ると、「可愛い~ね~」とそのお茶目な店主は変な日本語を発した。

そして「レン、グレイテストピアニストー。見に行く~デショー」と歌うように付け加えた。何と返事をして良いのか分からなかったから、「ありがとうございます」とだけ、また笑顔で返した。

彼は、「カワイーイオジョーサン、また~ね~」と不思議なイントネーションの日本語を話すと、笑顔で手を振った。

「オマケをいっぱいと、あと、髪にプレゼントを貰っちゃいました」

車内で待っていた社に、花束と、髪の毛の花飾りを指さして伝える。薔薇の花の香りが、車中を覆う。

風景はしばらくしてすぐに止まった。

「あの花屋から目と鼻の先だったんだよ。この劇場の全ての花を取り仕切っているのが彼らしいからね。彼が絶対ここで弾けと、劇場を通して蓮を引っ張ったらしい。古き良き伝統の残るムラ社会だからね。こんな所でもう舞台に立てるなんて、蓮は本当にラッキーな人間だよね。まぁ実力なんだろうけどさ」

車が止まるとすぐに、男の人がドアを開けた。社に降りるよう言われる。その男の人が花束とバッグを即座に抱え、キョーコが降りるのを手伝った。まるでお姫様になったような気分でキョーコは嬉しかった。

花束とバッグを受け取り、大きな扉の前に立つ。

促されるようにロビーに入る。

ロビーのソファというソファに、煌びやかな衣装を纏う夫人、音楽に携わっているだろう同種の香りがする人々が優雅に腰掛けていた。

見渡せば、あの不思議な花屋さんが活けたであろう綺麗な花が飾られ、皆の目を楽しませている。

「キョーコちゃん、こっち」

社さんが手招く。蓮と同じ日本語を話すキョーコたちに少しだけ視線が集まる。けれど、日本語ではなかったから、何を言っているかは分からない。

「な、なんか私、格好が変でしょうか。注目されているみたいです・・・」

「はは。違うよ・・・。日本人がこういう場所に居るのが珍しいんじゃないかな?見慣れた顔ばかりだろうしさ」

そうなのだろうか。珍しい、という視線ではない。どこの国でも‘そういう’視線は同じなのじゃないだろうか。関係者入り口らしき入り口を社は顔パスでくぐる。奥へと蓮の楽屋を目指しているらしい社に、キョーコは「待って下さい」と告げた。

「どうしたの?」

「あの・・・敦賀さんに私は声かけない方がいいです・・・。集中していると思います」

「そう・・・?じゃあ、終わったらその花束と君を一緒に蓮に渡しに行こう」

「あの、でも、私が無事に着いている事と、楽しみにしていると、伝えてください」

「そうだね」

もし自分なら、集中して、音だけの世界に入っている。彼は仕事に来ている。不慣れな者が近づいて、邪魔はしたくなかった。

社は蓮に個人的に用事があるからと、キョーコに座席を指差して、あそこね、と言うと、再び楽屋の方向へ歩いていった。

まだ誰も人が入っていなかったその劇場内は静寂に包まれ、荘厳ささえあった。椅子は歴史を携え、左右に束ねられた緞帳、それすら歴史を感じる。数々の名指揮者、名演奏者がこの舞台に立った。今日蓮は、初めてその舞台に立つ。そんな貴重な舞台をキョーコに見せてくれる蓮は、一体何を思って手紙をしたためたのだろう。

キョーコに与えられた席は一番音が綺麗に聞こえる十一列目中心。わざわざ押さえてくれたのだろうか。花束を包む透明なフィルムで、開演中音がしない様に、椅子の下に花束を置く。

オーケストラの椅子に囲まれ、指揮台の横、中心で眩しく照らされているピアノを眺める。しばらくすると、蓮の演奏を楽しみにしている高揚した声が徐々にホールの内側へ入ってきて、自分の心も同様に高揚する。蓮のコンサートを見るのは始めてだった。数々のトロフィー受賞後も、めったに人前で弾かなかったという蓮。一体どんな演奏をするのか、まるで自分の事のように緊張した。

「チャオ。またあーったねえ。かわいーい、おジョウサン」

変なイントネーションの日本語で言って隣に座ったのは、先程のお花屋さんだった。緑のエプロンと帽子ではない。あの陽気な花屋はどこへと思うような、とても綺麗にスーツを着こなし、美しく紳士な風貌をしている。

「あ、あれ・・・?こんにちは」

「この席は僕の指定席なんだ。あ、花は、僕が預かる。下においては花が可哀想だからね。終わったらレンに渡すんだろう?」

彼は変な日本語とは対照的な、綺麗な英語で話しかけてきた。キョーコの席の横は陽気なお花屋さん。

買った花束を席下から取り上げると、彼はすたすたと外に出た。どこにあの花を置いたのか、彼は手ぶらで戻ってきて、また、横に座った。

「レンに渡す時に、一番美しくないとね。髪も直してあげよう」

すごくいい香りがふわり、と香って、自然と彼はキョーコの髪を梳いて花の位置をなおした。

「オー、カワイー」

彼は、にっこりと笑うと、モースグ、と珍しく普通の日本語を話した。

「ありがとうございます」

そう言うと、「ドウイタシマス」と、多分「どういたしまして」を覚えられなかったのだろう、にっこりとまた笑うその笑顔につられて、キョーコも笑っていた。

「グッドスマイリング!」

彼はキョーコの後頭部を撫でて大きな笑顔をつくり、そして、前を向いた。

前を向いてからの彼の視線は、打って変わって鋭かった。

その視線につられるように、キョーコも前を向いた。

周囲の席が埋まり、ざわめきも減ってきた頃、続々と管弦の人間が席に着き、オーボエがA音を出す。コンサートマスターのA線が続き、全体のチューニングが始まる。全ての不協和音が収まると、拍手の中、指揮者が入ってきた。全員が客席に一礼し座ると、指揮棒を構え下ろした。

一曲目は、ベートーベンの序曲エグモント。もちろん蓮は出てこない。強烈な管と弦の音は、この建物の中で柔らかく調整され、キョーコの耳に届く。隣のお花屋さんは前を向きながら、にこり、と一人満足げな笑みを浮かべた気がした。弦楽器は女性のごとく非常に繊細で滑らか。管楽器は男性のようで、対照的なそれらは、指揮者によって完璧に調和をとっていた。

エグモント序曲が終わり、周囲の高揚した空気を纏うように蓮が割れるような拍手の中入ってきた。今日のメインゲスト。皆が初めて見る彼を無意識に品定めしている。

しかし蓮を取り巻く空気は、圧倒的で、鋭い。普段キョーコに見せるような砕けた雰囲気とはもちろん違う。

それでも礼をする際に一瞬の神々しいほどに綺麗な笑みを浮かべた蓮に、周囲は一気に魅せられ、女性の「ほう・・・」とついた溜息に似た感嘆が耳に届いた。

蓮が座る。位置を固定して、指揮者に視線で合図をした。キョーコが自分の事のように胃が痛くなる瞬間は、それっきりだった。

第二演目は、同じベートーベンピアノ協奏曲第五番「皇帝」。

印象的な出だしを、蓮は割りとゆっくり強いタッチで弾き出した。

なぜ、蓮が弾くとこんなに切ないのだろう。深く豊かな音色。皇帝の音。ピアノ、空間、そして蓮の絶妙な技術の全てが調和している。

第一主題で管弦楽が鳴らす有名な旋律はあまり耳に届かなかった。胸を締め付けられたまま、蓮の指先と音に釘付けになったまま、動けない。普段の優しい弾き方とはまた違う重厚な音は、強い管の音に負けていない。この音楽堂のように、強い荘厳さを持って、音一つ一つが、胸を締め付ける。一音を、逃したくない。楽譜は弾いた事があるから細部を知っている。

キョーコは、いつの間にか、半分目を閉じて、蓮の音だけに集中していた。CDとは違う、この一瞬だけの一回だけの音を忘れないために。

第二主題でさらに胸はきつく締め付けられ、後半部まるで皇帝が苦悩するかのような重いピアノの旋律が続き、力強いものに変った。けれど、楽譜に続く切ない音の並びのせいで、いつかキョーコは目に涙が溢れ、そのまま拭うでもなく、切ない映画を見るように、涙を溢れさせたまま、蓮の様子を見守っていた。

自分の涙と蓮を照らす強いライトで、蓮がプリズムのようにきらきら霞む。第二楽章の静かな主旋律はまるで厳かな宗教音楽のように、天井の無数の天使の絵から降るように音が注がれてくる。気づくと蓮の音が始まっていた。まるでロマン派の申し子のような、第一楽章とは対照的な包みこむ優しい柔らかい音がゆっくりと続いた。ベートーベンをまるで、リストやショパンでも弾くようにゆるく甘く弾く。彼は元々早弾きが得意なピアニストだと聞いた。でも今は違う。彼は、まるでピアノにでも恋するように、一音と強弱を、大事にしている。

キョーコの頬が照れてふっと赤くなった。蓮が、夜、キョーコに囁く言葉を、優しい指を、ふいに思い出してしまったから。蓮の音に恋をしているのは、自分自身だ・・・。

第二楽章末から入る第三楽章の主旋律は明るく、希望に満ち溢れている。なのに、赤くなってしまった頬と、どきどきが収まらない。

そっと終わる最後の一音がした。

隣の男性が何かイタリア語で声をあげて立ち上がったのが最初、その後次々に声が上がり、周りの皆が立ち上がった。

花屋の男性に腕を支えられて、キョーコも立つ。

鳴り止まない拍手の中、蓮は指揮者とコンマスと握手を交わし、そして、一礼し、指揮者と共に上手(かみて)に下がった。

しばらくして再び二人で上手から登場し、蓮は、綺麗な英語で、「拍手をありがとうございます。僕のアンコールは演目にないのですが、白鳥の湖の冒頭をピアノでアレンジしたものを弾こうと思います」綺麗な英語でそう言った。

「・・・・・・・・」

蓮が自分の為に弾いてくれているのは明らかに思えたけれども、でもまさか。耳を疑う。

思ったとおり、ピアノ用アレンジは、キョーコが編曲したものだった。蓮は、渡航する前に、キョーコのあの楽譜を「弾きたい」と言って持って行った。たった二分半強の短い編曲。アンコールだからそれでいいのかもしれない。けれど、ゾクリ、と背中が震えた。大好きな曲、キョーコの編曲。それを、蓮は、この豪華なオーケストラを率いて弾いてくれた。最大に盛り上がったところで、自分の編曲なのに、また、キョーコの目に涙が溢れた。

弾き終わった蓮は、にこり、と屈託の無い笑顔を指揮者に向け、「ありがとう」と言うと、再び割れんばかりの拍手が起きた。白鳥の湖にこれだけの拍手。蓮の演奏がすばらしかったのもある。サプライズで曲目が増えたこともある。けれど、まるで自分が拍手を受けてでも居るかのような錯覚を起こす。スタンディングオベーションを繰り返す観客に、蓮も一礼した。

一度下がり再度登場した蓮に、団員も足で床を踏んで拍手をし、コンマスと指揮者と握手を交わし、下手から用意された花束を各人が受け取り、起立した全員に蓮は深々と頭を下げた。鳴り止まない拍手の中、キョーコも涙を流しながら蓮が上手に見えなくなるのを見送った。花屋の男性も隣で、嬉しそうに拍手を送っていた。

コンサートが終わり、キョーコは一番に中に入った劇場を、一番最後に出た。出たところで社が待っていて、そして、あの花屋の男性が横に立っていた。

「レンはすごいね」

そうキョーコに英語で話しかけながら、その感動を表すかのように、キョーコをぎゅっと抱きしめて離す。台に置いてあった花束を持ち上げ、「お花だよ」そう言って渡された花束は、当初よりさらに薔薇の花の数が増えて、両腕で抱える程だった。

「僕の今日の最大の感動を、レンにも伝えて。ありがとうって隣の席の花屋の男が言ってたってね。増えた花は僕からレンへの感動の気持ちだよ」

「ありがとうございます」

「キョーコちゃん、蓮はここをまっすぐ行った控え室の一室に居るよ。行ってあげて」

「はい・・・」

「あぁ、待って。もっと綺麗にしてあげよう」

花屋の男は、生けてあった花を数本引き抜いて、どこからとも無くはさみを取り出して長さを調整し、クルクルと花束にした。それを今ピンについている花と交換した。

「新しくしてあげたよ。花束と同じ。レンに渡すなら、女の子も一番美しくないとね」

「あの・・・・・・」

キョーコが照れて花屋の男性を見上げると、「名前は?」と聞かれた。

だから、「キョーコです」そう答えた。

「僕の隣であんなに純粋な涙を流す人は初めてだよ。綺麗だった。アリガトウ、キョーコ」

綺麗な英語と、最後だけ珍しく綺麗な日本語で彼はにっこりと綺麗な笑顔を作った。

よく見るとイタリア人らしい端整な顔立ちの美しい人だ。

彼はキョーコの涙の後を探すように頬に触れて、また髪を梳くと、「オ~カワイー!」とにっこりまたあの大きな笑顔で笑った。

日本語は変だけれど、すごく優しい人だと思う。

「マタ~アイマショー!」

彼から、最後まで変なイントネーションの日本語を貰った。社は横で笑っているだけだった。

「敦賀さん・・・」

トントン、とドアを叩くとすぐに蓮は部屋を開けた。

「公演成功おめで・・・・やっ・・・」

おめでとうございます、と最後まで言う間もなく、「よく来たね」と彼の片腕に抱えられた。

落ちないように肩を掴む。額にはまだ汗が滲んでいた。

「すごい汗です・・・」

「ん・・・」

蓮は花束と共にぎゅっとキョーコを抱えて、彼は片腕でキョーコの唇を探し出した。

その熱っぽい唇から、公演の興奮がそのまま伝わる。

「泣いていただろう?見えた」

「嬉しくて・・・ですっ・・・んっ・・・・・・っ・・・」

蓮の香水の香りと、抱きしめられた強い腕に、とても安心した。

「支度をして部屋へ帰ろう。君に会いたかった」

ここが海外だからだろうか。

蓮ははっきりと言った。

帰りの車の中で、蓮はキョーコの手を離さなかった。社は、助手席で一言「明日はフリーだから、キョーコちゃんをどこか連れて行ってあげたら?」そう蓮に言った。






2006.11.27