魔法の国のキョーコさん トリックオアトリート(魔法の国ver.)1





「敦賀さん!今年もこの季節がやってきました♡」

うきうきと、楽しそうに蓮様に声をかけたキョーコさん。

蓮様はカレンダーを見て、「ハロウィンだね」と言いました。

「今年も、小さくなって下さいね?!ね??」

「うん、いいけど」

毎年この時期は蓮様を小さくする魔法をかけて、小さなかぼちゃ王子の格好をさせて、楽しむのが恒例です。

「今年はね、キョーコちゃん。国中をお休みにして、皆で収穫祭も兼ねてハロウィンのお祝いをしようって事になっていて、オレたちも参加するんだよ?」

「そうなんですか」

「そこで、子どもたちにしあわせ鳥を見せたり、オレたちは城の入り口で待機していて、子どもたちがお菓子をくださいなと言って遊びに来たらお菓子を渡してあげる」

「それは楽しそうですね!」

「つがいの2羽を移動しないといけないから、しばらくオレは城と行ったり来たりかな」

「私も手伝います!2羽を一緒に移動してあげないと暴れますし、一人で2羽を移動するの大変でしょうし」

「ありがとう、助かるよ」

「もちろんです!」

キョーコさんはうきうきと、連れるためのしあわせ鳥の可愛らしい首輪と、お洋服を作り始めました。

***

「いやあ~こんな素敵な洋服、ありがとうございます~。でも誰かに着せてもらわないと着られませんけどねえ。でも嬉しいですよ」

郵便鳥の胡蝶さんに、沢山洋服を作って配ったキョーコさんに言いました。

「似合いますね、その蝶ネクタイと燕尾服!胡蝶さんだから、蝶ネクタイです」

「こんな格好をするとまるで人間の結婚式に出るみたいですよ」

「胡蝶さんは、あのセキレイさんと結婚式をしましたか?」

「へ?私ですか?いいえ?」

「でも仲良しなんですよね?もうつがいですよね?」

「お陰様で。でも、結婚式という人間のようなしきたりは鳥にはありませんので。つがいになったら、それが結婚式みたいなもので」

「ええ~!!!胡蝶さんこんなにこの国の為に頑張ってくれているのに結婚式無いんですか?私が開きます!!ハロウィンパーティの中でやりましょう?」

キョーコさんはそう言って、胡蝶さんに提案しました。

胡蝶さんは羽を広げて「いえいえ!」と遠慮しましたが、キョーコさんは「今度はセキレイさんのドレスを作らなきゃ!」と、もはや聞いていない様子で、楽しそうに言いました。

「キョーコちゃん、私の事は気にせず、ハロウィンパーティ参加してくださいよ?」

「全ての人の収穫祭ですもの!妖精にも、郵便鳥たちにとっても美味しいごちそうを食べる日にしてください、って、王様に伝えます。だって胡蝶さん、美味しいお料理食べるの好きですよね?ね?」

「そりゃあ大好きですけど。じゃあお言葉に甘えて。ありがとうございます~」

「私たち人間だけが楽しく生きている訳ではないですからね!一緒に!」

キョーコさんは気合の入った顔をして、胡蝶さんの部屋を後にしました。


***


家に戻ったキョーコさんは、胡蝶さんの話を蓮様に話しました。

「敦賀さん、胡蝶さんの結婚式を挙げてあげたいんです」

「うん?胡蝶さん?結婚するの?」

「もう結婚はしちゃったみたいなんですけど、式はしていないっていうので、お祝いだけでもハロウィンにしてあげたいなって」

「いいよ?胡蝶さんたち郵便鳥の場所も作って欲しいって事だよね?」

「そうです!鳥のごちそうも、妖精のごちそうも、用意したいんです」

「いいんじゃないかな。この国にいる全員が美味しいものを食べる事は王の願いの一つだから、問題ないと思うよ?収穫祭だしね」

それを聞いてキョーコさんはとても嬉しそうにしました。

「胡蝶さんの他に、お祝いしたい人はみんなお祝いしちゃうパーティにしましょう!」

「うん、料理は王が山ほど用意してくれるだろう。多くは王の胃の中に入るんだろうけどね」

「そうですね!王様の胃の中は別の宇宙が広がっていると言われていますね。敦賀さんの胃とは違って」

「オレがあんなに食べたらキョーコちゃん毎日ご飯作るの大変だよ」

「そうですかね?そうですね。作り甲斐はありますけどっ」

「そうだね・・・」

王様の食べる様子を思い浮かべてそれだけでおなか一杯だという顔をした蓮様。

「かぼちゃ、畑にとりに行こうか。そろそろ収穫の頃だろう?」

「はい!収穫してしばらく陰干ししなくちゃ。美味しいかぼちゃに仕上げて美味しいお料理を作りましょう!」

****



しばらくしたある日、

「キョーコちゃーん、お届け物だよ」

そう言って胡蝶さんは一つの荷物を持ってきました。

「ありがとうございます、胡蝶さん。お茶していきますか?」

「うーん」

重たい荷物を持って来た胡蝶さんをもてなそうと思ったのに、胡蝶さんが渋ったので、キョーコさんはにっこり笑って言いました。

「美味しいパンプキンケーキがありますよ?」

「じゃあ!」

美味しいものに目が無い胡蝶さんはあっさり休んでいく事にしました。キョーコさんの家は遠く、いつも巡回ルートの最後の家なので、少し休んでも大丈夫です。

「おや胡蝶さんいらっしゃい。結婚式するんだって?おめでとう。楽しみにしているよ」

と蓮様が奥から出て来て言いました。

「ええ、キョーコちゃんがやろうと言ってくれていまして」

「オレが生まれる前から長年仕えて貰って、助かっているよ。もう子供もできたのかな?」

「ええ、もう少しで何匹か生まれますよ。今、卵を妻があたためていて」

「え!胡蝶さん、もうお父さんなんですか?」

キョーコさんは驚いて言いました。

「お祝いもっとしなきゃ~」

キョーコさんは生まれたての赤ちゃん用のベッドをお祝いに作ると言いました。

胡蝶さんはパンプキンケーキを食べながら、言いました。

「キョーコちゃん、その郵便、開けてくれませんか。また中で何かごそごそ動いていたんですよね」

「え!またですか?今日はもう泉に行く時間は・・・」

キョーコさんは蓮様を振り返って言いました。

「・・・・手紙、と、何かの置物のようなもの、かな」

蓮様は言いました。

「オレが開ける」

そう言って、蓮様は包み紙を開けて、キョーコさんが好きそうな立派なリボンを解き、宝石で彩られた豪華絢爛な箱を開けました。

「こっちは羊の置物、手紙は、キョーコへ・・・と書いてある・・・」

蓮様が一気に顔色を変えて、それからキョーコさんが誰から手紙が来たのか察して「はぁぁぁぁ!!!」という顔をして、それから、胡蝶さんが「わたくしはもうこれで!蓮様、キョーコちゃん、ごちそうさまでした!!!!仕事に戻らねば!」と言って、慌てて出ていきました。

「・・・胡蝶さんを脅かさないでください、怖がって出て行ってしまったじゃないですか」

キョーコさんは、口をぶう、と、つき出して言いました。

蓮様は手紙を読み始めました。

「『キョーコへ。来月の収穫祭に王から招待状を貰った。その時に以前話をした羊を連れて行く。 お前の家に置くのか王宮に置くのか分からないが、専用の小屋を用意しておいてほしい。できれば明るく独立した緑の多い広い場所が好ましい。お菓子の国・R』と書かれているけど。お菓子の国のRがつく王子はアイツしかいないじゃないか」

「羊さん!欲しいと言いました!!以前しあわせ鳥を連れて行ったので、代わりに交換して下さると言っていました。それで、羊の置物なんですね?」

とキョーコさんは言いました。

蓮様は難しい顔をして羊の置物を見ました。

「貯金箱みたいに穴が開いてる」

「じゃあ、貯金箱として使いましょう?」

「いや、これは割った方が良さそうだね」

「え!!隣の国の方から頂いたのに?」

「あのね、これたぶん、何かが聞いてる・・・」

「え!」

「贈り物ありがとう。オレたちの生活を覗くようなプレゼントは申し訳ないけど割らせてもらうよ」

そう蓮様が言って、外で割ろうと玄関に向かうと、キョーコさんが言いました。

「あれ?!割らないでください!!中から声がします。その声、多分、羊を祝福するための精霊さんです・・・。とても素敵で美しい精霊さんなので、出てきたら敦賀さんは精霊さんと結婚がしたくなるかもしれません・・・」

キョーコさんは蓮様の手からそれを取って、中をのぞきました。

「こんにちは、ミュスカ様」

「やあ久しぶりだな。随分乱暴に割ってくれようとした」

「ごめんなさい。でもなぜこんな小さなところに入っていらっしゃるのですか」

「レイノが入れたのだ。私はあの国へ帰りたい。他の仲間を連れるよう言ったのに、アイツは私を入れた。早くあの国へ返して欲しい」

「はい!もちろんです!でもミュスカ様?これ、割ったらどうなりますか?」

「私が出て来る。でもこれは陶器のように見えるが魔法で作ってあるから割れない。アイツが割らなければ私は出られない」

そんな会話をキョーコさんは出来ていましたが、蓮様はミュスカ様の声は聞こえていません。

「キョーコちゃん、誰と話しているの?」

「ミュスカ様です」

「ミュスカ様?」

「のぞいてみて下さい、見えますか?」

中をのぞいてみても、蓮様には何も見えませんし、声も聞こえていません。

「残念ながら私の声はお前にしか聞こえていないようだな」

「そうですか・・・。でも、敦賀さんにミュスカ様が見えてしまったら、あまりに美しくて私はもしかしたら奥様の役を解かれてしまうかもしれないので、見えなくてもいいかもしれません・・・」

「いや、問題ない。お前のパートナーは私が見えていないし、お前のパートナーは私が見えたとしても私になど一ミリたりとも興味がないだろう。それに私はレイノの傍がいい。だから問題ない」

「そうですか?本当に?」

「お前は誰を信じているんだ」

「いえ、ミュスカ様があまりにお綺麗なので・・・」

「お前のパートナーはお前しか目に入っていない。お前以外の異性に全く興味がない。信じてやるんだな」

「ありがとう、ございます。あとで聞いてみます」

「早くあの国へ帰りたい。多分アイツはお前が来るのを見越して私をこの中へ入れた。収穫祭に出ると言っていた。その日まで待つか、先に持ってくるか、アイツはお前の性格から先に私をあの国へ持ってくるだろうと賭けたんだろう」

「・・・敦賀さんと相談してみます、私一人ではいけませんので」

「分かった。私はしばらく大人しくしている。どうにかしてくれ」

「御飯やお布団は大丈夫ですか?」

「私は食べないし寝ない。気にしなくていい」

「わかりました。でも、あの、私たちの寝室にお連れするのは恥ずかしいので・・・」

「私は外でいい。外の空気が吸いたい。その代わりこの入れ物を妖精にいたずらされるのはごめんだから、保護だけかけて欲しい」

「わかりました、ミュスカ様の外に置くおうち、敦賀さんに作ってもらいますね?」

キョーコさんは事の次第を蓮様に話し、蓮様はすぐに、ポン、と、小さな家をどこからともなく作り、取り出しました。

「これでどう?」

「可愛い!」

キョーコさんが入ってみたいような小さな家具と小さなお皿、小さなベッド。

実際ミュスカ様は羊の置物の中に入っているので使えないものの、キョーコさんにとってはお人形ごっこをするには夢のようなミニチュアハウスでした。

それを外において、保護をかける魔法をかけて、ミュスカ様の入った羊の置物をその家の中に置きました。

「おやすみなさい、ミュスカ様」

キョーコさんはそう言って扉を閉めました。

*****







2019.10.31

久しぶりな上に長くなり続いてしまいました・・・スミマセン、、、!

ハッピーハロウィン!ということで・・・

(まだ本編移動できていないのですが直して移動する予定です)