ねぇ、蓮?
――声を聞いて、姿を見て。
――目があって。
ね、今、「しあわせ」って感じてくれてる?
貴方の目の奥に聞いてみたいの。いつでもね。
私が昔・・・貴方に言ったけれど。
――顔を見ただけで、辛いときでも嬉しくて。
――胸の奥が温かくなること。ささいなしあわせ。
貴方の穏やかな笑顔にほっとして、どんなに忙しくても辛くても、この腕の中で貴方の目の中を覗いているときが、私の一番の「しあわせ」。蓮と私の、二人だけの、大事な時間。すべてをさらけだす。それを正面から受け止めてくれる。どれだけ救われているか、わかっている?
「目を閉じて、キョーコちゃん」
「やですっ。ふふっ」
「キスを、したいんだけどな」
その穏やかで神々しいまでの優しい瞳に吸い込まれるように、結局私が負けてしまうけどね。
そっと目を閉じて、優しい笑顔で鼻の頭をすりすりってする蓮が好き。「ねぇ、ねぇ、」って私におねだりしているみたいだから。私ばっかりスゴク好きなの、悔しいでしょう?
そっと唇が降りてきて・・・徐々に深くなっていく口付けと、強くなっていく腕に、ものすごくしあわせを感じる。蓮がどんな表情で私に口付けてくれているのか気になって、少しだけ見てみたくて、うっすら目をあけてみる。
「薄目なんて、どこで覚えてきたのかな?」
唇を離した蓮に、額をあわせて私の目の奥をじっと覗かれた。照れて紅い顔をした私が、蓮の目の奥に写っている。そんな私がいるってわかってしまったかな?どうしようもなく、心臓がうるさい。
「ドキドキしているね?」
「うん」
受け止めてもらえる恋心。好きな人に貰える愛。この恋心は、永遠に増えていくんじゃないかな・・・。
――しあわせ・・・・。
蓮の手に指を這わせて。すりすりすりってしてみる。「ねぇ、ねぇ」って・・・おねだりのおかえし。だから、お願い。分かってね?恥ずかしいから、もうこれ以上言わせないで。
「やっぱり今夜はそのまま薄目にしておいで」
蓮の強い腕と、優しい唇と指先に、私は、いつか、目を、閉じた。
どうしようもなく溶けた心に、蓮が容赦なく甘く入り込んでくる。
『君にどうしようもなくやられている・・・・・オレの目を、見て?』
私の唇の上で、蓮がそんなふうに唇を形作った気がした。
うっすらとだけ一瞬見えた、蓮の瞳・・・。
――ダメ・・・・。
「すきだよ、よくしてあげるから、もっと乱れて可愛い声を出してごらん、キョーコ。大丈夫だよ、可愛いから。ホラ、もっと好きに声を出していいよ?」
蓮の荒い息遣いと共にささやく甘い声を感じて、すぐに何も考えられなくなる。
「すき・・・すき・・・すきっ・・・・・れんぅ・・・・・・ぃっ・・・・」
恋心がどうしようもなく溢れて、しあわせと、愛しさが、身体いっぱいに、はじけた。
*****
「蓮・・・今、しあわせ?」
「なに、どうした?」
「ね?」
「きみに、こうしてすごくしあわせにしてもらっているよ」
彼は、また私の目の奥を覗き込んで、鼻をすりすりすりってした。
――ねぇねぇ。しあわせ?
子供のように可愛い表情で、蓮がおねだりをしてくれた。
「うん、恋しているから、しあわせ」
「もうその恋で、最後にしてね?」
「うん。蓮もね?」
だから、いつまでも私に会いたくなって、声が聞きたくなってね。私に恋をしていてね。
そしていつまでもまっすぐに、瞳を、合わせていたいね。
2006.07.02
2020.07.18 改稿
リクエスト「Everlasting」のキョーコさんver.です。