「おまたせ」、と言いかけて、つい言葉をのんだ事を彼女は知らないだろう。
どちらから来るのだろう、と・・・視線を走らせている彼女の様子を黙って見ていたと言ったら、きっと彼女は「もう!!」と頬を膨らませるに違いない。
『早く来ないかな、待ってるの、待ってるの。』
背中がそう言ってる。
ねぇ、今、君の心の中は、オレだけで占められてるって事、君は分かってる?
今君は、オレだけを。
「おまたせ」
後ろから耳元でそっと囁いたら、彼女は悲鳴を上げそうになって、思わず口を手で押さえた。
「ん~~~~もごもごもごっ。ふふがはんっ!!!」
「くすくすくす・・・」
「普通な現れ方はできないんですかっ」
「普通だよ。後ろから来ただけじゃないか」
「み、耳元なんて」
「いや、なんかハンターな様子が可愛かったから。オレ狙われてたよねぇ・・・くすくす・・・」
「・・・????」
オレを待つその無防備な背中を、この場で後ろから抱き締めてしまえばよかったかな?
次はそうしよう、うん。
2007.09.20