やわらかい事は、全てにおいて善なのである。
「だから、それは女の子の特権だと思うんだよね」
ソファに座る蓮は、台本を読むキョーコを背中から抱き締めながらそう言った。
――もよもよもよもよ・・・・
キョーコの空いている手を揉んでみたり、二の腕をぽよぽよしてみたり・・・。
「もう、やめてよね・・・・集中できない・・・・」
弱く抵抗してみるも、蓮はやめる気配も無い。
「なんで?」と言いながら、耳たぶを唇で食む。
「ちょっ・・・蓮・・・」
「なに・・・?」
「だから、くすぐったい・・・」
「あちこち柔らかい君がいけないんだ」
「私のせい?」
「そう、君のせい。君が悪い」
しらっと言い切る蓮は、キョーコの頬の柔らかさに自分の頬を重ねた。
「まだまだもっともっと、柔らかい所、知ってる」
「・・・・だから、」
「だって恋愛は相手の柔らかい所を知ることだもん」
「だもん、って!もー!蓮!」
「もっともっと、君の柔らかい所に触れたい」
――もよもよもよもよ・・・・
「・・・・・自分がもう台詞を覚え終わっているからってズルイわ・・・・・」
「・・・ね?君もオレの一番やわらかい所、触れたいと思わないの?」
「・・・・・・・」
「・・・・思わない・・・?」
「もう・・・・否が応でも、うん、って言わせたいのね」
「もちろん♪(^―^)」
蓮はにっこり笑う。
そんな笑みを浮かべたときは、キョーコに勝ち目が無いこともよく分かっている。
「君の心と身体のとっても柔らかいところに触れるの、好き」
「蓮の一番やわらかい所も、とってもあったかいから、好き」
キョーコは、もっとも柔らかい所、蓮の唇に自分のそれを重ねた。
ふ、と、柔らかく吐き出した息が互いの唇にかかる。
「やわらかいね」
「うん・・・・」
――もよもよもよもよ・・・・
蓮はにっこり笑って、あちらこちら、キョーコの柔らかい所全てに蓮は手を伸ばす。
「って、もう!人が真面目に台本を覚えたいのに・・・・っ・・・やめて・・・・」
「もっと、もっと、君の柔らかい所知りたい・・・」
「もう~~~~・・・・」
「ここも、ここも・・・・どこも柔らかい君が悪いんだ・・・・・」
――もっと、もっと・・・・
柔らかさは、誰もが求める最大の優しい感覚なのである。
2009.6.24
(旧サイト拍手お礼でした)