「抱かれたい男No.1」、敦賀蓮。
過去落した女は数知れず、好きになられた女も数知れず・・・。
「敦賀さん」
キョーコに呼ばれた蓮が振り向くと、キョーコに顔を引き寄せられ、唇が重なる。
重ねられた柔らかさはしばらく目を閉じ、そのままでいた。
キョーコらしからぬ行為に、蓮は咄嗟にどうする事もできず、目を見開いたまま。
キョーコはそんな驚いた顔をしている蓮の目をごく真剣に覗き込み、
「とても好きです」
とまっすぐ蓮の目を見つめて言い、離れた。
「私は今もこの先も敦賀さんしか好きになりませんから」
まるで蓮に挑むような視線。
一体何の新たなる宣言なのかは分からない。
直球勝負の手札しかない恋愛初心者なキョーコの、生涯蓮愛宣言。
キョーコは好きに言うだけ言って、用事は終えたとばかりに、ご機嫌に部屋を出て行った。
蓮はまるで逆プロポーズでも受けたような気分で、その顔は崩れた。
「・・・・・昨日追い詰めすぎたせいかなあ・・・・・」
蓮は自らの顔を手で覆った。
今までの女の子への法則が一切通用しない。
そしてビックリ箱が気まぐれに開く。
その前ではまるで恋愛初心者、敦賀蓮。
そんな崩れたかわゆい姿を知る者は、誰もいない。
2008.07.27 paper 4 オマケ文より発掘
2019.06.30 改稿・掲載