きみをつれて





昔大好きだった星空を久しぶりにゆっくり見上げて、 隣にいるキョーコちゃんに、「アレが冬の大三角形だよ」って言ってみたら、 「メルヘンチックですね」と言われた。

「君ほどじゃないよ」って言ったら彼女は、ぷくりと可愛らしく膨れた。

「近くの星を繋げると冬のダイヤモンドになるんだよ」と言ったら、「いつかアレも私に下さい」と言って柔らかく微笑んだ。

二人で白い白い息を吐きながら、ただ空を眺めて、そして、 気付くとオレの手を探す、冷えた指先が触れた。


握り合った手だけが、今、そこに存在を証明する全てだった。

広い広い宇宙時間の中で、彼女と同じ時間が流れている事だけで、 とてもしあわせな気が、した。


2007.11.17