いつくしむ 番外編 20.201225

公園の一角、芝生の上で、蓮はしばらくどこかへ行って帰ってきて、またキョーコの横に座る。

「はい、あたたかいお茶」

蓮がキョーコに温かいペットボトルを渡す。

「ありがとうございます」

と言った。

舌先で温度を測ると、ほんの少しだけ熱い。

キョーコは蓋を開けてすこし吹く。しばらく吹いてから口にした。

「おいしいです」

「それはよかった」

体を寄せて隣に座る蓮にキョーコは体を寄せる。

「あたたかいですね」

蓮もキョーコに体を寄せて、

「こんな時期でも咲いているよ」

目の前に咲いている綿毛のタンポポを摘んでキョーコに渡した

「吹いて綿毛を飛ばしてもいいですか?」

蓮も頷く。

キョーコは思い切り息を吸い込んで、一度で、ふ、と、吹いた。

たくさんの綿毛が空に舞って、どこかへ飛んでいく。

「次の春にまたたくさん咲くといいですね。次の春もまた一緒に来たいです」

キョーコは飛んでいく綿毛を目で追いながら言った。

あと少し、残っている綿毛を吹こうとしたとき。


--ちゅ。


キョーコの唇に触れてすぐに蓮は離れた。

驚いてアワアワして、どうか周りに人がいませんようにと願いながら、そっとそっと、周りを見渡す。もちろん最初から誰もいない。

蓮ももう一つ近くのタンポポを摘んで、ふ、と、吹いた。

「いや、なんかかわいいなと思って」

「もう・・・」

キョーコも、残った綿毛を吹いて飛ばした。

「また四葉のクローバーでも探す?今日は誕生日だからサンタクロースが来るかな」

「妖精が来てくれるのはいつでも最高の贈り物です!」

キョーコは蓮の腕に自分の腕を絡ませて、頬を蓮の腕に寄せた。








2020.12.25 Happy Birthday ! Kyoko-san♡