公園の一角、芝生の上で、蓮はしばらくどこかへ行って帰ってきて、またキョーコの横に座る。
「はい、あたたかいお茶」
蓮がキョーコに温かいペットボトルを渡す。
「ありがとうございます」
と言った。
舌先で温度を測ると、ほんの少しだけ熱い。
キョーコは蓋を開けてすこし吹く。しばらく吹いてから口にした。
「おいしいです」
「それはよかった」
体を寄せて隣に座る蓮にキョーコは体を寄せる。
「あたたかいですね」
蓮もキョーコに体を寄せて、
「こんな時期でも咲いているよ」
目の前に咲いている綿毛のタンポポを摘んでキョーコに渡した
「吹いて綿毛を飛ばしてもいいですか?」
蓮も頷く。
キョーコは思い切り息を吸い込んで、一度で、ふ、と、吹いた。
たくさんの綿毛が空に舞って、どこかへ飛んでいく。
「次の春にまたたくさん咲くといいですね。次の春もまた一緒に来たいです」
キョーコは飛んでいく綿毛を目で追いながら言った。
あと少し、残っている綿毛を吹こうとしたとき。
--ちゅ。
キョーコの唇に触れてすぐに蓮は離れた。
驚いてアワアワして、どうか周りに人がいませんようにと願いながら、そっとそっと、周りを見渡す。もちろん最初から誰もいない。
蓮ももう一つ近くのタンポポを摘んで、ふ、と、吹いた。
「いや、なんかかわいいなと思って」
「もう・・・」
キョーコも、残った綿毛を吹いて飛ばした。
「また四葉のクローバーでも探す?今日は誕生日だからサンタクロースが来るかな」
「妖精が来てくれるのはいつでも最高の贈り物です!」
キョーコは蓮の腕に自分の腕を絡ませて、頬を蓮の腕に寄せた。
2020.12.25 Happy Birthday ! Kyoko-san♡