いつくしむ プロローグ


キョーコはある時、蓮に言った。
蓮との関係を、表現してみて出てきた言葉だ。 恋愛を除いても、人としてできれば、公私に渡っての理解者の一人でありたい。


「私はいつでも敦賀さんを尊敬して信頼していますから。私も、いつでも、敦賀さんの味方です」

「・・・ありがとう。嬉しいよ」

「敦賀さんが、どんな悪い事をしても、です」

「どんな悪い事って。オレは何をするの」

「いえ、もし、警察に捕まるような事があっても、会いに行きますし、差し入れにも行きますし、出て来てもお世話します」

「あはは。急にどうしたの。最上さん何か刑事ドラマか何かでも出たんだっけ?でもその前にオレに変な兆候があったら止めてくれない?それに・・・それなら捕まると捕まらないとに関わらず、味方としてそばで関わってもらう方がいいと思うのですが、どう思われますか、京子さん」

「もちろんですよ?」


「まあ、オレも、君の味方だよ」

「嬉しいですっ」

味方、という素敵な言葉と共に蓮を味方につけてしまったのだから、舞い上がるような気持ちでいて、キョーコは半分上の空で返事をしていた。

きっと、にっこにっこの満面の笑顔を、蓮に向けていたに違いない。

蓮が、「嬉しそうだね」と笑うから、キョーコは、

「嬉しいですよ?ラブミー部はラブミー部員以外、いつでも四面楚歌、いつでも断崖絶壁ですから、味方が増えたらとても嬉しいのです!」

そう言って、コブシを強く握って蓮に力説した。

味方とは、最も心地よい距離。最も安心できる距離。最も信頼できる距離。

生きている限り、世界のどこにいようとも、共にあると言う事。友達のようで、友達でなく、恋人でもなく。信頼の上に成り立つ、『味方』。

蓮がキョーコにだけは、口先だけでものを言わない事を知っているから、キョーコはとても嬉しく思った。キョーコは、何があったとしても蓮を裏切る事は無いだろうと思った。蓮が、キョーコを見放さない限り。


味方の距離は、いつでも地球と月か、太陽と地球のように変わらない距離で、互いをグルグルと巡り、互いを潤すように思えた。

それからというもの、戦友のような、不思議な強い絆のようなもので繋がっている。


変わらない距離で。いつものように。当たり前に。




2015.4.5


まだどうなるのか自分でも全く分かりませんが、更新したいのではじめてみます。出来上がりまでたどり着く事ができるといいです。なので最後にたどり着くまで時々詳細等加筆のため、こっそりと改稿しているかと思います。中編~長編予定です。気長にお付き合い頂ければ幸いです。