22. After The Lights
部屋に着くとすぐに蓮はソファに荷物を置き、キョーコをソファに座らせると、抱きしめた。
「待ってた」
「飛行機のチケットも、今日の公演のあんな素敵な席も、何もかもありがとうございます」
「来てくれて、嬉しい」
「いえ・・・呼んで下さって、嬉しい・・・です」
「キョーコちゃん・・・」
「敦賀さん・・・今日のピアノ・・・本当に嬉しかった・・・」
「ん・・・マエストロが気に入ってくれたんだ・・・あの楽譜・・・。アンコールの長さには丁度いいだろうって・・・」
「ウソ・・っ・・・・・は・・・・・・・ぁん・・・・」
蓮がゆっくりとドレスを脱がせるのと同時に、蓮の指が、キョーコの背中を這った。ぞくぞくぞく・・・と背中が弓のように張る。
不意にキョーコから漏れた吐息を、蓮は舌を絡ませて、唇で埋めた。
肩紐に指を入れて下げて、キョーコの腕を片方引き抜くと、蓮の唇は、キョーコの首もとの紅い斑点に、降りた。強く舐めて吸う。キョーコから、ふっ・・・・と詰めた甘ったるい吐息が漏れる。
キョーコの髪に蓮は指を通して、梳く。付いていた花を丁寧に取って、テーブルに置き、キョーコに向き合うと、まぶたに耳に、唇に・・・余すところなく丁寧に口づけ始めた。ひくり、とキョーコの肌が反応する。
「キョーコちゃん、可愛い・・・」
「っ・・・敦賀さん・・・」
キョーコの身体を大事に愛しむ蓮の舌がキョーコの頭をおかしくする。脳が溶ける。蓮が耳元で発する卑猥な言葉を受け入れてしまう。
優しい指に、唇に、身体が反応する。
「まって・・・つるが、さんっ・・・」
「蓮・・・にして・・・」
「れんっ・・・・まって・・・おねがい・・・」
「キョーコちゃん・・・?」
「ベッドに・・・」
「くすくす・・・」
ベッドに横たえられると同時にベッドの淵に立った蓮は、キョーコの足先を持って膝を折り、足の甲にそっと口付けた。
口唇を付けたまま、視線だけこちらに促して目を合わせる。
「や・・・・」
耳の先からつま先まで、真っ赤になる。
どうしようもなく恥かしいそれを、分かったように、蓮は愉しむ。
「ベッドに、移動したよ・・・?・・・お姫様・・・?」
にっと笑う蓮は、夜の帝王で、皇帝そのもの・・・。
誰も敵わない。
徐々に足の付け根に向かって這うその唇。蓮の優しい言葉と囁き。そして、公演の熱から冷めない蓮の強く火照った身体に、キョーコの身体も反応して昂る。
キョーコが蓮の肌を指で追うと、綺麗な筋肉がひくり、と反応した。指に反応するその様が心地よくて何度も試すと、蓮は、「キョーコちゃん・・・そんなに余裕があるならもっとキツクするよ・・・?」と囁いた。
首を振ろうと振るまいと、夜は蓮の思うとおりになる。
何度も達し、その果ての真夜中、無意識に快楽の涙が溢れ、蓮の唇がそれを優しく受け止めた。
2006.11.27
Special Thanks to Shiho Kitaura